ほぼ旅かなり旅ぜんぶ旅手帳

気になることだけを気にしてたところまで取り上げました

祝日本遺産!江戸時代の面影残る【知覧武家屋敷群】薩摩の小京都を訪ねて

錦江湾に沿った稜線上の

指宿スカイラインで知覧を目指します。

 

途中いくつかある展望台からは

前日よく見えなかった桜島の遠望。

f:id:sachi0801aki:20200912165008j:plain

鹿児島の街からは遠くなってしまったけど

まるでナポリのような?知らんけど…

f:id:sachi0801aki:20200912165101j:plain

天文館のホテルからドライブすること1時間

「知覧武家家敷庭園群」付近へ。

 

見学のための駐車場は

保存地区の両端と中央あたりに2つの全4か所、料金は一律です。

 

いずれに止めても歩く距離は同じようなので

中央の「森商店」に止め

駐車料200円と1人あたり入場料530円(7か所共通券)を

清算しに売店へ行くと

ご親切に1時間でまわれるルートを教えていただいたので

それに従うことに。

 

疑問に思ったのが

鹿児島県内には武家屋敷が複数あるということ。

 

徳川幕府が1つの藩に1つの城しか認めない「一国一城制」を出してから

各地の本城に付属する支城は取り壊され

お城と城下は1か所だけ、というのが常ですが

鹿児島県には1つの藩に1つ以上。

 

薩摩藩では

島津家の本城・(内城ないじょう)鹿児島城を中心に

周辺の支城を「外城とじょう」と呼び

城が無くなった後も半農半士の「郷士ごうし」を分散して住まわせました。

 

外城は「麓ふもと」と称して

領主の館を取り囲んだ武家屋敷を置き

郷士たちは軍事の備えであり

農民統治の役割も果たしていたのです。

 

当時は113もの外城があり

幕府から・外城の数の多いことを問われたことに対し

島津氏が九州を制覇したころの

武士の数は1か所では収まらないので

分散させている旨を伝えています。例外が認められるのも凄いですね

 

「人をもって城と成す」という

薩摩独特の外城制度によって築かれた武家屋敷は

知覧のほか日本最大規模を誇る出水麓や姶良市の蒲生麓などがあります。

 

「知覧武家屋敷群」は

知覧城の支城であった亀甲城跡の麓で

城跡から南へ延びる本場馬通りに沿って780m

石垣と生垣が連なり武士の邸宅や庭園が

江戸時代のままに保存された町筋は

国の重要伝統的建造物群保存地区であり

令和元年5月には日本遺産の認定を受けました。

 

ということで

南からお城跡へ(左→右)向かうように歩いてみました!

f:id:sachi0801aki:20200912165201j:plain

 ①西山恵一郎庭園

門をくぐって石壁があるため左に除けて入ります。

f:id:sachi0801aki:20210118104229j:plain
中国の山水画をもとにしたという庭園は「鶴亀の庭」とも。

高い石は鶴、塔の真下の石と緑で亀の頭と甲羅を表しているという

言われて気付く庭師の遊び心。

f:id:sachi0801aki:20210118104448j:plain

塔が置かれるのは琉球によく見られる手法だそう。

どうりで日本的な中にも何か異なる雰囲気。

 

②平山克己庭園

f:id:sachi0801aki:20210118104659j:plain
町の北部に位置する「母が岳」を借景にするのは

どの庭園も同じで

こちらもまた

母が岳から分かれる嶺のようにイヌマキを植え

どこから見ても美しいように作庭してあるのだとか。

 

③平山亮一庭園

石組が無くサツキの大刈込みが印象的で

京都や近江などに見られる大刈込みは南国では珍しいのです。

f:id:sachi0801aki:20210118104804j:plain

f:id:sachi0801aki:20210118104914j:plain

均等に置かれた切り石は花や盆栽を置くためのもの。

f:id:sachi0801aki:20210118104852j:plain
長い石をくり抜いた水鉢は

刀の血のりを落とすためのもので

世は太平であったものの

戦への備えは怠りませんでした。 

 

 

通りの石垣は

不揃いな玉石積みは分家筋、

整った切り石積みは本家筋という違い。

f:id:sachi0801aki:20210118105013j:plain

また

先が見通せない本場馬通りですが

東西の通りも直角に交わらないようにもなっていて

敵の侵入の勢いを弱め不案内な者には不便な作りなのです。

 

そして

突き当りには「石敢當せっかんとう

f:id:sachi0801aki:20210118105133j:plain

沖縄でも見ましたが

あちらでは「いしがんとう」と呼びましたっけ。

この石で邪気を跳ね返すという魔よけの石で

藩政時代に中国との交流が盛んであったことがうかがえます。

 

石敢當を過ぎると茅葺き屋根が見えてきました。

f:id:sachi0801aki:20210118105207j:plain

門を抜けて石壁こそ無いものの

直進できない防御力のある入り口です。

f:id:sachi0801aki:20210118105240j:plain



f:id:sachi0801aki:20210118105302j:plain

ふむふむ

f:id:sachi0801aki:20210118105351j:plain
すっきりとした室内のオモテと

f:id:sachi0801aki:20210118105419j:plain

生活感のあるナカエと

f:id:sachi0801aki:20210118105447j:plain
庭園は正直似たり寄ったり…

 

④佐多美船庭園

知覧島津氏の本筋の家で

庭園は最も豪華とのことで

門構えもこれまでと違って

左右に小さな屋根がある凝ったつくりです。

f:id:sachi0801aki:20210118105520j:plain
庭園は大きな岩を滝に見立てて

随所に石組を設け書院の前まで流れが続く、というのを

心の目で見る!!

f:id:sachi0801aki:20210118105606j:plain


⑤佐多民子庭園

f:id:sachi0801aki:20210118105750j:plain
解説がめんどくさい

 

⑥佐多忠直庭園

こちらの門構えも本家筋。

くぐれば目隠しと防御の屏風岩が風格を漂わせています。

 

お城に近づくにつれ身分が高く豪華になっていくようです。

f:id:sachi0801aki:20210118105918j:plain

 

こちらは番外なのか

「旧高城庭園」

前述の「二ツ家」と同じようなつくりで復元とありました。

f:id:sachi0801aki:20210118110013j:plain

f:id:sachi0801aki:20210118110036j:plain

ハート型の水鉢かと思いきや

f:id:sachi0801aki:20210118110117j:plain
ハートは「猪目いのめ」といって

イノシシの目からかたどったもので

社寺建築の飾りに用いられるようです。

福を招き災いを除く日本古来の伝統紋様なんだとか。

かわいらしいですよね♡

 

⑦森重堅庭園

7つの中では唯一の池泉式庭園。

f:id:sachi0801aki:20210118110148j:plain
今まで枯山水ばっか見てきたから

そりゃもうカラッカラで

ここに来てやっと潤います。

曲線に富んだ池は湧き水を引き込み

岩は半島や山を表現しているそう。

 

以上7か所見学し終えちょうど1時間でした。

 

駐車場に面した県道

f:id:sachi0801aki:20210118110218j:plain
イヌマキの街路樹も珍しく。

庭園でも多用されていたイヌマキは

内からは見えても外からは目隠しとなるそうです。

f:id:sachi0801aki:20210118110249j:plain
麓川の疏水では鯉が泳いでいました。

 

 

            つづく