ほぼ旅かなり旅ぜんぶ旅手帳

気になることだけを気にしてたところまで取り上げました

お伊勢さん【御正宮】と【荒祭宮あらまつりのみや 】公と個と

お馬さんを見届けて

参拝者たちは

ぞろぞろとお馬さんに付いていき

人の少なくなった御正宮前。

 

石段の右側は

立ち入り禁止の御敷地。

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地元に伝わる話では

東側に御正宮が建つ20年は米蔵といわれ

食料は満ち足りるが経済は停滞し人が助け合う時代。

 

西側に御正宮が建つ20年は金蔵といわれ

経済が発展するのだと。

 

現在は

金蔵ということになりますが…?

 

そして

御正宮と向かい合うのは

「御贄調舎みにえちょうしゃ

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うっかり見過ごしそうなくらい

簡素な造りですが

内宮のお祭りの際

外宮の豊受大御神を神座に御移りいただき

天照大御神の御前で鰒を調理するところなのです。

 

さて

皇室の祖と仰がれ

私たち日本人の祖おや神様である天照大御神を祀る

日本で最も尊い「伊勢神宮」。

 

熱田神宮や橿原神宮など

所在地の名を付けた神宮もありますが

単に「神宮」で通じるのは伊勢の神宮だけ。

 

内宮の御神体である

三種の神器の1つ

八咫鏡を依り代とした天照大御神は

もとは大和の国の宮廷内に祀られ

歴代の天皇のみが日本国の繁栄と

国民の平安を祈ってこられました。

 

ところが

10代・崇神天皇の御世に疫病が流行り

住まいである宮廷内に祀るのは

穢れがあるのではないか、恐れ多いことだとして

皇女・豊鍬入媛命とよすきいりひめのみこと

御杖代みつえしろ(※神に奉仕する人、斎王)として

大和の笠縫村へ天照大御神を遷座します。

 

さらに11代・垂仁天皇の時代

皇女・倭姫命が天照大神を奉じて旅歩き

ついに神路山の麓を

永久の聖なる地と定めたのが

現在の内宮です。

 

たいへん歴史のある神社で

1996平成8年には

ご遷座2000年を迎えています。

 

初代・神武天皇の誕生が紀元前711年

11代・垂仁天皇の誕生が紀元前29年

その皇女・倭姫命が神宮を創建したのが

垂仁天皇26年、紀元前4年のこと。

 

皇紀というのが西暦+660年ですから

記紀や神話などを学ばなかった私にとって

日本が紀元前からの

2600年以上もの長い歴史のある国だということは

にわかには信じがたいことでした。

 

神宮は長い歴史ゆえに

神社本来の姿をとどめており

それはたとえば

狛犬が置かれていなかったり

鈴や賽銭箱、おみくじが無かったり…

 

神宮は本来

国家安泰、五穀豊穣など

公の祈りを捧げる場所ですから

個人なら神恩感謝をするのが良いとされます。

 

また

おみくじが無くても

神宮では参拝したその日が

大吉と決まっているのです。

 

でもせっかく参拝しに来たのだから

お願いごとを聞いてほしい!

 

そんな時に頼れる神様が

「荒祭宮あらまつりのみや」です。

 

御正宮から参道を少し戻り

「別宮荒祭宮」の案内板。

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途中には

「御稲御蔵みしねのみくら

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お米の神様が祀られ

神宮神田で収穫された御稲みしねが1年分納められて

そのつど精米されるそう。

 

さらに「外幣殿げへいでん

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式年遷宮後の

古い神宝類が納められているとのことで

気になります^^

 

どちらも

御正宮と同じ神明造を小さくしたようなもので

間近に見られない代わりに

こちらでじっくり。

 

外宮の項でも触れましたが

神明造の特徴はほか

正面、側面共に左右対称で

直接地面に埋める掘立て柱

両側面の棟持ち柱は

わずかに内側に傾いているなど。

 

外宮との主な違いは

内宮の千木の先端は水平で

鰹木が偶数本。(御正宮には10本)

 

真横から見る↓

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棟持ち柱の上部は隙間がありますが

20年の間に屋根が下がって隙間が無くなる計算。

 

石段を下りるときには

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「踏まぬ石」に気を付けて。

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上から41段目にあるひび割れた石は

天から降ってきた石として参拝者は踏まない習わし。

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天…?

 

下りて上って荒祭宮です。

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第一の別宮で

天照大御神の荒御魂をお祀りしています。

 

御正宮の和御魂と対比して

荒ぶる神様お願いします!

あんなことやこんなこと!!

 

心機一転したいとき

新しいことを始めるときなど

力を貸してくださる神様として

たくさんの信仰を集めています。

 

ここから表参道へ戻ると見えてくるのが

「御酒殿みさかどの」と

「由貴御倉ゆきのみくら」。

 

こちらもまた

一般の参拝者は素通りしそうな簡素な建物ですが

お酒の神様を祀り

三節祭(神嘗祭と6月と12月の月次祭) に供えるお酒が納められているとか。 

 

由貴というのは「限りなく尊い」という意味があるのだそうです。

 

時間に余裕があれば

「風日祈宮かざひのみのみや」も訪ねてみたいところ。

 

授与所の向かいから森へ入ると

宇治橋を小さくしたような木製の橋。

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渡れば右に開けてきます。

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外宮にも風の神様がいらっしゃいましたが

こちらも同じく元寇の国難から救ってくださったという。

 

人生に良い風を

悪いことを吹き払ってくださる神様。

 

神宮では風雨の災害が無いように

祈りが捧げられるところです。

 

このあたりは

木々に囲まれて

静かで落ち着けるところですね。

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