長野県北部に位置する野沢温泉村は
古くは湯治場として
大正からはスキー場を併せ持つ温泉地として
たくさんの観光客が訪れます。
長野五輪では
スキー会場の1つに選ばれ
それに伴い交通網も発達し
以前よりも距離感は軽減されました。
近年スキー人口は減少し続けていて
廃業に追い込まれるスキー場も増えているのですが
温泉のある野沢温泉スキー場の人気は落ちないようで
「人気温泉地ランキング 2011」において
満足度第1位を獲得しています。
隣県の
上越市高田の金谷山では
100年前の明治44年
オーストリアのレルヒ少佐によって
ストック1本のスキー術が伝えられたといい
「日本スキー発祥記念館」があるそう。
それで今年は各地のスキー場で
「日本スキー発祥100周年」を記念して
様々なイベントが行われるようです。
スキーに行った私の滑る話はおもしろくないので
今回は
それ以外の野沢温泉の魅力に
迫ってみたいと思います????
ゲレンデへつながる
名物の動く歩道「遊ロード」
大正13年開業のスキー場にあるゲレンデは
最長滑走路10.000mで 標高差1.085m。
5月上旬まで滑走可能となってます。
お宿の朝食ではお約束の「野沢菜」
(見づらいです…)
信州人のソウルフード?
野沢温泉名物・野沢菜漬けは
250年の歴史。
京都や大阪特産の「天王寺蕪」が
標高600mの この地では
蕪は大きくならず
葉だけが大きく育ってしまい
野沢菜漬けが生まれたのだと。
晩秋にまいた種は
5月には黄色い花を咲かせます。
「朧月夜」にも歌われている
菜の花畑に 入り日薄れ 見渡す山の端 霞ふかし…
とは
野沢菜の花を指すともいわれます。
梅雨の晴れ間には種の収穫をして
その種を買い付けに
全国から種子問屋さんがやってきて
今や
北海道から九州まで
栽培圏が拡大しているそう。
漬物用の種まきは8月の終わりです。
3日ほどで芽を出し
まだ若い野沢菜を間引いたものを
「一番間引き」といって
源泉で湯がいて食べるのは
「鯛の刺身よりうまい」のだとか??
11月に入ると
村のあちこちで野沢菜は取り入れられ
北信濃の風物詩とも言われる
「お菜洗い」がはじまります。
共同浴場で
1mほどもある野沢菜を
世間話などしながら丁寧に洗う姿が
見られるのも この時期。
通常は水道水ですが
本場野沢では温泉で洗い
そうすると虫離れもよく
風味豊かになるそうです。
洗い清められた菜は
塩や唐辛子、好みで昆布や味噌など
それぞれの家に伝わるとおりに
漬け込まれて…
緑も鮮やかな浅漬けや
スキーシーズンの始まる12月中頃には
べっこう色の深い味わいの本漬けが楽しめます。
酸菌の発酵が進むと
味が落ちてしまうのですが
地元の方は
油でいためた野沢菜や
野沢菜汁といって酒粕の汁の具にして
おいしくいただくそうです。
野沢菜漬けは
がん予防に優れ、
カルシウムや食物繊維
毛髪や皮膚、胃腸にも良いミネラルも
豊富に含まれ
伝統食でありながら
健康的な食べ物で
積極的に摂るよう心掛けたいですね。
美しい湯屋建築が目を引く
野沢温泉のシンボルともいえる「大湯」は
温泉街の中心にあります。
野沢温泉には
こういった外湯(共同浴場)が
全部で13か所 点在していて
地元の方以外でも
野沢温泉に宿泊していれば
利用可能です。
それぞれの外湯は
周辺の住民が
電気料や水道料を負担し(!!)
当番制で清潔に管理しています。
「大湯」の護りとして
薬師三尊を奉り
日光・月光菩薩を従えた薬師如来は
人々を様々な病苦から救い癒し
来世までの福徳と利楽を授ける
といわれているのです。
建物の右半分が女性用で
扉を開けてスグが脱衣所と
ほとんどいきなり湯船でした。
まぁ 予想はしてましたけど…
硫黄の香りと湯けむりでいっぱいの浴場には
シャワーなんてものはありません。
代わりに小さな桶がいくつか…。
この日の気温は0度。
スキーと散策で冷えた体は
もたもたしていると凍ってしまいそうです。
なので
急いで脱衣!
急いでかけ湯!!
急いで熱々の湯船へ!!!
温度の変化が大きすぎて
皮膚が痛いやら かゆいやら???
しかし
お湯に浸かっているうちに
熱さにも慣れ
手足が解凍されていったのでした。
かなりリラックスしていると
地元の方が
「あんまり長いとのぼせるよ。さっきも1人、救急車で運ばれたから。」
とのことで慣れない方は
自分では気づかないうちに湯あたりしてしまうので
長湯はお薦めできません。
くれぐれもほどほどに…
薬師三尊を奉る「大湯」を
ご紹介しましたが
そのほかの12か所の外湯には
薬師如来を守護する「十二神将」が1体づつ。
年と方角を守る十二支とも結びつき広く信仰を集めたそう。
地域の人と仏様に見守られ
野沢温泉の外湯は
今日もこんこんと
お湯をたたえているのです。
こちらは
「十王堂の湯」で如意輪観音。
「おぼろ月夜の館」の下に建つ2階建ての浴場です。
道路に面して温泉たまごが作れるようになっていました。
網に入れた卵を
誰かが温泉に浸けていったようです。
お風呂から出てくる頃には
おいしい温泉たまごになっていることでしょう。
ほか
共同浴場で1番大きい「中尾の湯」(阿弥陀如来)や
熊が発見した「熊の手洗湯(くまのてあらゆ)」(地蔵菩薩)などなど
外湯をめぐる人たちが
温泉街をそぞろ歩いておりました。
と・こ・ろ・で
野沢温泉街には
温泉まんじゅうを売るお店が
いくつかありますが
おススメは
「フキヤ」
道を挟んだ向かいが工場らしく
十勝産小豆を使用した自家製こし餡は
玉子を入れた生地に包まれて
じっくりふかして売られます。
1個注文すると
ほかほかの蒸し器から出してくれました。
他のお店のを1個食べてたんですけど
確実にこっちのがおいしいです。
甘いもの好きさんにお勧め!!
野沢温泉街の中心に建つ
17代続く老舗の旅館「さかや」は
源泉を持っています。
お湯の質が良いので
近くの旅館にも引き湯しているのだとか?
湯屋造りの大浴場は
こんなふう。
飲める温泉もありました。
露天風呂は
お料理も
地元の素材を中心に生かした創作料理で
山菜や茸などの山の幸や
新鮮な地野菜に溢れています。
…と
パンフレットにありました笑
以下
お料理画像になります。
大皿に細長く斜めに置かれているのは
朝鮮人参衣揚げ。
真鱈と白子の柚子釜蒸し…
みゆき和牛の源泉網焼き。
みゆきって地名があるみたいです。
「お米は今日から木島平産です。」
だって!!!!
ほかにもありますが
くどいので。
最後は
一口アップルパイと雪室人参カステラなるものが
出てきました。
ごちそうさまでした。
「湯沢神社」
雪に埋もれてます。
ゲレンデに向かう途中に発見しました。
「芸術は爆発だ!!!」で おなじみ
岡本太郎氏は川崎市の生まれですが
野沢温泉村の名誉村民第1号。
昭和49年、
当時63歳の岡本太郎氏は
日影ゲレンデの記念碑のデザインを担当して
この地を気に入り
以降
毎年のように野沢温泉を訪れ
さまざまな作品を残しました。
野沢温泉グッズにも
「湯」や「遊」などの書が
活用されていて
村のいたるところで
お目にかかれます。
これは
「さかや旅館」のフロントに掛けられていた
ほ…
炎???? 合ってるよね?
なんかカッコイイです♡
同じく
村のいたるところでは
「道祖神」や
あけびつる細工の
かわいい「鳩車」にも出会えます!!!
(両方パンフレットから…)
奥信濃の名湯は
山里らしい素朴さが
残っているのでした。