江戸から大正時代の家並みが残る
愛媛県喜多郡内子町うちこちょう。
別子銅山跡が土砂崩れのため見学できず
おすすめの場所、と松山で教えていただいた町。
最終日に帰路と逆方向とは思うところありましたが
知らない町を見てみたい気持ちが上を行き
松山市内からおよそ50分
まずは内子町ビジターセンターへ。
警察署を改装したという建物は無料で利用でき
内子町の情報が手に入るので最初に訪問したいところ。
芝居小屋のことを聞いていたので
見学可否やお勧めルートなどをこちらで確認して
やってきました「内子座」へ^^
1916大正5年に建てられた内子座は
木造2階建て入母屋造で瓦葺
中央には太鼓櫓を乗せ
両袖に2階建て切妻造りの棟がつながります。
浮世絵の絵看板がいかにもな感じ^^
ここまで来たからには
内子町の主要な3施設がお得に入れるセット券を購入@900円
内子座だけなら400円で見学可。
客席左、舞台と同じ高さの花道を歩きながら
内子座についてや建物内の仕掛けのことなど説明を受け
あとは自由に見学と撮影ができます。
花道の途中にある四角い切穴「すっぽん」から
忍術使いや妖怪の類がせり上がるとか
客席右の格子の中は「義太夫席」で
人形浄瑠璃に合わせて語る人の席だとか…
和傘のあるあたりが「回り舞台」
客席の前で場面転換ができる装置は歌舞伎に使われるもので
あの歌舞伎役者も先日公演で使用した、とか。
紋の付いた暖簾の2階の簾すだれは「黒御簾くろみす」で
三味線や太鼓などでの効果音や伴奏をする楽器担当の席
…といったことなどを教えていただきました。
折り上げ格天井とシャンデリアと看板広告と
シーリングファンとスポットライトと
ガス灯のような照明と^^
観客の熱気と演じる者の情熱が染み込んだかのような
なんとも味のある空間です。
舞台正面2階は「大向おおむこう」
低料金の席は目の肥えた常連客が多く
「大向をうならせる」という表現は
通も役者を称賛するほどの名演技のこと。
一般大衆の人気を得る言葉として
日常でも使っ・・・たことないですけどね^^;
桝で区切られた「桝席」は
1桝に6人が座布団を敷いて芝居見物をした昔
今では4人でも狭いくらいかも。
舞台と客席の距離も近いですよね^^
舞台の下へ降りると
昔は人力で回り舞台を動かす仕掛けがあったらしく
電動式で壁の中なのか目立ったものはありません。
暗くてじめじめした中で舞台をまわす作業場所であったことから
地獄を意味する「奈落」と名付けられています。
…とはいうものの空調整う快適空間でした^^
すっぽんの真下。
舞台中央の扁額は「芸於遊」芸に遊ぶ、と読みます。
650名収容できるそう。
内子座は
全国に16しかない伝統的様式を伝える芝居小屋の1つ。
芸術と芸能を愛する町の有志により
大正天皇御即位を記念した
「大典紀年株式会社内子座」として建てられました。
まだ製蝋や製糸で栄えていた時代
農閑期には歌舞伎や人形芝居が演じられ
内子座は人々の心の糧であり拠りどころだったのです。
時には落語や映画、演説会場などにも利用され
幅広く要望を受け止めてきた内子座。
時代が流れるとともに
老朽化と需要の低下とで取り壊しになるはずが
町民の熱意で修理復元され
昭和60年に劇場として再出発
2015平成27年には国の重要文化財に。
2016年には内子座創建100周年を迎え
現在は文楽や狂言など古典芸能のほか
文化ホールとして利用されるなど
町内外の芸術文化活動の拠点となっています。
とくに毎年8月の文楽公演は
日本の伝統芸能に触れつつ
現役の芝居小屋としての姿も見られる貴重な場なのです。
※令和4年度は中止となりました
商売繁盛を願う招き猫ならぬ「招き狐」は
株式会社内子座であったころのシンボル↓
商売人が多く稲荷信仰の篤い土地柄なのでしょう^^
飾り瓦も繊細です。
日常では馴染みの薄い場所でしたが
開放された芝居小屋は親しみやすいものでした。
休場日は12月29日から1月2日の5日間
催しものがある日は見学できない場合があります。
内子座の場所はこちら。
内子町にやってきて
いきなりこんな素晴らしい建物を見ることができて
このあとの町並みも期待が高まります^^