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しっとり艶やかな金沢【ひがし茶屋街】で藩政時代のお茶屋の雰囲気を!重文【志摩】

北陸地方のこれからの季節は

どんよりとした灰色の空が続くのでしょう。

 

長い冬のはじまりです。

 

冷たい雨の降る中

金沢へお邪魔しました。

さむ…

さて。

木造家屋に石畳の景観がつややかなこちらは

1820年に加賀藩の政策で

同業者を集中させた町区分を行ったことにはじまる

「ひがし茶屋街」。

 

金沢城とは浅野川を隔てた外側に位置し

「ひがし廓」と呼ばれたこともあったようです。

お茶屋といってもお茶を売るお店ではなく

酒宴や芸事を楽しむ大人の社交場だったところ。


通りに面して

視線を遮る格子戸と高さのある2階

屋根は切妻で瓦葺という統一された町並み。

 

江戸時代の名残りが見られるこの一帯は

国の重要伝統的建造物群保存地区。

 

今も5軒のお茶屋が営業され

芸妓さんも10数名とか。

 

いずれも

紹介無しでは入れない「一見さんお断り」という方式で

夜のひがし茶屋街は

上流の町人や文人が通ったころのままの格式高い芸の街なのです。

 

江戸時代の面影を残す重文の「志摩」1820年建築

現在はお茶屋ではなく

お茶屋という建物を見学できる施設です。500円なり。

お抹茶付きなら追加で700円。

 

ということで失礼しまーす^^

良い気が宿ってそう^^

客間は2階なので

どうりで外から見ても高めだったのです。

 

客間は控えの間とペアになっていて

お客が床の間を背にして座ると

その正面の控えの間の襖が開いて

控えの間そのものが芸妓さんの舞台となります。

 

押し入れなどは造る必要はなく

あくまで遊芸が主体というのが町家と異なるところ。

 

旦那同士が顔を合わせることのないように

複数の階段を設けているのも茶屋建築の特徴とか。

 

こちらの「ひろま」が一番整ったお部屋らしく

廊下に出れば坪庭が。

べんがら色の壁と

飛騨高山の春慶塗の違い棚を背にして座るのですね。

そうすると正面が控えの間で…

襖が開け放たれると

金屏風の前であでやかな舞が

太鼓や歌などにのって披露されるという…

 

通路となる「なかの間」を過ぎて

表通りに面した「前座敷」↓

↑縁側から続く「控えの間」には

やはりお座敷太鼓や鼓など。

客間となるこちらには
床の間に琴や琵琶…?知らんけど。

茶屋遊びの粋

茶屋遊びは、限られた空間と時間の中で繰り広げられる非日常の世界である。

お茶屋を訪れる客たちは日常の暮らしとはかけ離れた華やかな空間に引き込まれることになる。紅殻格子の内部は格調の高い、洒落た遊び心を合わせ持った贅沢なつくり。その粋なしつらいと共に客を艶やかな世界へといざなうのである。そして、そこに居合わす客と芸妓がひとときの時空間を共有する。もてなす側ともてなされる側がともに芸に興じてこそ、茶屋遊びの「粋」は成り立つ。

芸妓は茶屋という非現実的な空間に生きる存在である。歌舞音曲の類はもちろんのこと、装いや小物選び、指先のふとしたしぐさにも気を配り、全身あでやかな美や粋を表現する。

時節のうつろいに合わせて客の心を満たす幅広い教養も必要とされる。

客は贅を尽くした空間に遊ぶ、芸と美の後援者でもある。客の側にも芸を解する力量が問われ、旦那衆は茶屋通いのために自ら稽古事をする。芸をたしなみ、洒脱な心がなければ、芸妓が捧げる優雅で粋な場面を楽しめるはずもなく、「野暮」とされる。

最上の客とされるのは芸妓を楽しませるほどの懐の広さを持った者であり、最高の芸妓とは客に我を忘れさせる術を身に着けた者のことを言う。

茶屋遊びのために、旦那衆は労を惜しまず、芸妓はそれに応えて自分を磨き続ける。ひがしの茶屋文化は「粋」を至上とする芸妓たちと旦那衆によって守られてきたのである。

とあります。

 

的を得ていて

粋というほかに言葉が思いつかない。

 

鶯色の壁の「はなれ」↓

漆でなく白木の数寄屋風で

芸妓は姿を見せず笛の音だけを楽しむ影笛なども

演じられたそう。

 

奥の階段をおりて…

「石室いしむろ」ですって。

低めに造られた1階は

華やかさの裏側。

基本は仕出しでしょうが

お酒を燗にしたり

取り寄せたお造りなどを石室から持ってきて

配膳していたことでしょう。

 

かつて芸妓さんの身支度に使われた「みせの間」には

丁寧な手仕事の髪飾りなど。

象牙やべっこう、珊瑚に翡翠…

格式ある場にふさわしい

杯台まで付いた杯↓

漆に金粉を蒔き付けて描く蒔絵という技法。

雅なお遊びの盤双六も。

長唄に合わせゆったり優雅な舞を

ちょっぴり映像で楽しめました^^

日常とかけ離れた空間とは

調度の類ばかりでなく

お客の心を満たすべく粋な振る舞いを見せる

芸妓さんの成せる業なのですね。

 

ここでの遊行が許される意識の高い旦那衆だからこそ

茶屋文化が成り立つことが分かりました。

 

旦那は顔が利くので後払いというシステム↓

これだから一見さんは無理なんよね^^

伝統ある和風建築では

やはりお抹茶が似合いますわよね♡

 

ひがし茶屋街では

伝統工芸品や雑貨を扱うお店が集い

風情のある街並みでのお買い物が楽しめます。

 

1点ものばかりのあのお店

素敵だったなぁ…

 

街といいお店といい

目の保養になりました^^

 

市内にはほか「主計かずえ」「にし」茶屋街があり

あわせて三大茶屋街とされます。