歴史ある街並みが残る橿原市今井町。
濠で囲んだ城塞都市は
江戸時代には商業都市へと発展したところで
見通しの利かない細い路地には
瓦屋根と白壁の家々が続きます。
辻が多い非碁盤目状の道筋は
どう歩けば効率良いのか悩ましいところですが
東から攻めてみることに。
こちらは「高木家住宅」
精細な格子が上層町家らしいとのことで
酒造業を営んでいた時期もあるようですが
入口に内部公開中の札があれば300円で見学可。
西隣には現役の酒屋さんがありました。
「河合家(河合酒造)」重文
今井町は水質のよい湧き水に恵まれ
かつては町内に数軒の酒蔵があったそうですが
現在はこちら1軒のみ。
酒林は角の軒下に1つと入口に3つ下げられていて
酒屋アピールがすごいです^^
玄関の左下の金具は「駒つなぎ」といって
集落内の古い町家に多く見られます。
すねの高さあたりにあるのは馬用
腰の高さあたりのものは牛用で
大名貸しや蔵元などに用がある武士が
牛や馬を連れて訪れた際
金属製の環わにつないでおくためのもので
駒つなぎは今井町のシンボルでもあります。
お酒や奈良漬など店舗スペースの奥には
吹き抜けの空間にかまどがありました。
かつて「上品寺じょうぼんじ村」から移住してきたとのことで
屋号は「上品寺屋」。
地酒・出世男に浸した酒ケーキ1450円を買ってみました^^
しっとりした生地にふんわり酒のよい香りがしておいしいです。
「お酒に弱い人は運転は控えて」とのこと。
分岐点には必ず案内板^^
東西に伸びる「御堂筋」をしばらく歩きます。
通りの名前はこの先にある今井御坊「称念寺」が
「南之御堂」とも呼ばれたため。
立派な構えは「恒岡醤油醸造本店」
見学は要予約で500円の有料ですが
醤油1本お土産付き。
歩くのが楽しくなる良い町ですね。
古めかしい山門のこちらが
浄土真宗本願寺派「称念寺」重文
江戸初期の完成という本堂が改修工事をしていたのが残念でしたが
2022年春には完成するとの案内でした。
寺内町である今井町は
室町時代の末に今井兵部豊寿いまいひょうぶとよひさが
本願寺の道場を開いたのち寺に改め
今井町が発展していく基盤となったところで
今井家は代々が兵部と名乗り
僧と武士を兼ねた身分で織田家、豊臣家、徳川家に仕え
特に秀吉からは大坂城の普請奉行など要職を与えられています。
現在に至るまで今井家が住職を務めているのだそう。
境内の桜も間もなく開花するようです^^枝の向こうには太鼓楼。
景観に合う床屋さん!!
Q.東口の反対側は西口なん?改札みたいに。
A.東口さんって姓なんやで。
そろそろお腹空いてきたけど
飲食店に出会えないまま御堂筋を歩くと
2階の壁には
丸に「木」の字の紋が目印の「豊田家」重文
「西の木屋」と呼ばれた材木商・牧村家にはじまる住宅は
入母屋、本瓦葺きで城郭建築に見られる重圧な造り
壁は軒裏まで漆喰を厚く塗り上げた防火構造。
1662年建築のこの時代に
板葺きなどが多かったことに対しての豪壮なことは
今も残る全国の町家でも5本の指に入るとか。
住宅の外観を見て
隣にある「紙半豊田記念館」へ入館してみました、空腹なのに。300円なり
記念館の両隣からお向かいまでも豊田家の敷地という裕福な家柄で
豊田本家12代当主が2012平成24年に開館している
今井町では唯一の資料館です。
6代当主・紙屋半三郎の名から
屋号は「紙半」とするも紙は扱ったことはなく
大名にも金銀を貸す両替商を主たる家業とする豪商でした。
江戸中期から歴代当主が収集、愛用した陶磁器、蒔絵、書画などの
古美術品4000点余を年2回入れ替えているそう。
本館では
藩札同等の価値があった今井札をはじめ
実際に触れることができる貴重な千両箱や台帳
印籠や江戸時代の地図
ヤシの実をくり抜いて漆で仕上げた菓子器も
個人的には今でも通用する
お洒落なオブジェに見えました。
お向かいの別館は
梁の立派な家屋をそのまま資料館にしてあって
お客とお店を仕切る結界や
用途別に揃えられた伊万里焼のセット
女中部屋に所狭しと置かれたあんなものやこんなもの。
案内人のかたの解説もあり
興味深く見ることができました。
今井町の保存地区を2時間見て
まだまだ半分にも達してないのに(地元の方々とお話しし過ぎて)
13時前となり
今日中に見学しきれるのかと心配になる^^;